オホーツクの魚貝類図鑑
オホーツク海のサケ
 サケ(鮭) Salmon 細長い体が小型の円鱗(えんりん:まるいうろこ)でおおわれ、背びれと尾びれの間に脂(あぶら)びれとよばれる肉質の突起をもつサケ科の魚の総称。
シロザケの呼び名
サケの生態
日本でサケ、アキアジなどとよばれるサケはふつうシロザケを指しますが、このシロザケ、漁獲時期や魚体の成熟度、食味などによって、独特の呼称で呼ばれることもあります。

鮭、シロザケ、アキアジ

まだ産卵しない回遊中の若いシロザケを「ケイジ(鮭児)」、春から夏にかけて回遊しているシロザケは「トキシラズ」「トキ」と呼ばれます。沿岸まで回帰してきてこれから産卵の準備に入ろうとしているシロザケを「メジカ」。そして、産卵を間近に控え、河口周辺に集まっているシロザケを「アキアジ」、「ブナ」。産卵後のシロザケを「ホッチャレ」とも呼びます。
これまで、シロザケの自然産卵を見ることは希でしたが、最近は、自然に産卵する河川が増えてきています。自然産卵された卵は、真冬にわき水が豊富な川で孵化します。表面は凍り付いた川底の砂利の中で春まで過ごし、雪どけのころから海に下りはじめます。

オホーツク海に出たシロザケは北の海(主にベーリング海や北太平洋)を餌を求めて回遊し、小魚などを食べて成長します。3〜6年海で過ごし、産卵のため再び生まれた川へ戻ってきます。
 4年目のシロザケの回帰が最も多く、約5割といわれています。海で年月を数えた鮭ほど魚体も大きくなります。
シロザケの食味
生まれた川へ
鮭は、成熟し産卵の準備ができると餌をほとんど取らなくなり、これまでに産卵のために貯えた脂分を消費していきます。まだ未熟なケイジやトキシラズ、メジカは脂がのって美味しく、産卵期になると脂質が少なくなり味が落ちるため、身よりもイクラ(卵)の方が好まれます。 鮭は自分の生まれた川を間違えることなく戻ってきます。北洋からオホーツク沿岸まで、なにを目標にして戻るのか謎ですが、沿岸部では、自分の生まれた川の臭いをかぎ分けて、母川を遡上していきます。
サケの人工ふ化
シロザケの形態変化
オホーツクの河川に遡上してくるサケの多くが人口ふ化放流されたもの。1965年頃から回帰数が10倍以上にも増えている。
 沿岸では定置網で漁獲し、河川に遡上したサケはウライという捕獲棚が使われる。
 
 
 
 
 
 
 
回遊中:ケイジ、トキシラズ、メジカなどオスもメスも銀色に光っています。銀毛と呼ばれます。顔つきもやさしシロザケ(銀毛)い。同じように回遊しているカラフトマス、サクラマス、マスノスケ(キングサーモン)も同じように銀色になっています。
河川付近:多くがブナ毛と呼ばれる赤紫や黒の模様が現れ、オスは鼻先がのびて曲がります。
 メスは産卵が近づくと体の横に頭から尾にかけて黒い帯がはっきり目立つようになります。
 河川付近でも個体によって成熟度がちがうため、銀毛のままのものやブナ毛が進んだものなどが混じります。

シロザケといっしょに遡上してくるカラフトマスは、その大きさが、カラフトマスの方が小さい事や、お腹が白いカラフトマス(セッパリ)こと、身体に灰色の斑点があることで見分けがつきます。カラフトマスのオスは、成熟すると背中が盛り上がり、セッパリと呼ばれるようになります。
サーモンフィッシング
釣り人はリールのついた釣り竿(さお)で、サンマやルアーを餌(えさ)としてサケをつります。河川以外では一般のサーモンフィッシュングも認められて、ライセンス料を払うとオホーツク海で船釣りもできます。
北海道の一部の河川ではサーモンフィッシングの規制を緩和する試みもあります。)
 シーズンになると海岸に釣り人の竿が林立するほどの人気ですが、中には釣った魚の卵だけとりだし、身は投げ捨てていく人もいるようです。必要以上に釣らないで、また釣った魚はすべて食べてあげるのがマナーです。
サケの食べ方
塩焼き、チャンチャン焼き(鉄板で野菜とともに味噌味で食べる)、石狩鍋(鍋もの)、ルイベ(冷凍後の刺身)、保存食としては、塩蔵した新巻き、スジコ、イクラ、トバ(寒干し)、メフン(肝臓の塩漬け)


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参考資料:「北のさかなたち」北日本海洋センター発行

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