アッ、やばい!!

 このところテレビで若者言葉についての話題が多く取り上げられています。
その一つに「やばい」というのがあります。
私がテレビ放送でこの言葉を聞いて、あれっと思ったのはもう大分以前のことです。
 グルメの番組が多く取り上げられるようになってまもなくの頃、レポーターと称するタレントが人気のお店に出かけ、人気メニューを味わってレポートするものでした。一口食べたタレントの口元や表情のアップが映し出されています、そこでは味について適切なコメントを述べるように要求されていたと思います。

 ところが元々話し言葉の語彙に乏しい若いタレントにとって、特に表現の難しい味について適当な言葉が中々出てこないのは当然ことです。
 その状態がカメラに捉えられているのに耐え切れなくなり、とっさに出たのが本来の否定的用法で使われた「あっ、やばい」であったように見えました。
美味しさをうまく言葉で現せない状態になっているのが「やばい」のであって、美味しさが「やばい」のではなかったと思います。だからそれで間をつなぎ、次に適当な味について表現すれば良いのですが、やはり言葉にはならないようでした。

 その後いつのまにか肯定的な表現として使われるようになったのは、あらゆる場面で素晴らしいといった感情を具体的にうまく相手に伝える語彙を持たない若者が、いまそのような状況に追いこまれているよ、といった感じを逆説的に一くくりで表した、安易な絵文字的表現方法ではないかと思います。それはなにも今に始まったことではなく『いいようの無い美しさ』とか『何とも言えない美味さ』といった表現の現代版なのかも知れません。

 テレビ放送の中で、今まで聴かれ無かったこの「やばい」という言葉が使われているコマーシャルも目にします。スタイルの良い女性タレントがわき腹をつまんで「かるくやばい」と言うもので、少し太ってきてまずいなといった状況を的確に言い表しています、これは本来の使われ方だと思います。まだ当分はこのように両方の意味で使われていくのでしょう。
 まもなく農産品の収穫時期がやってきます、ジャガイモ、枝豆、カボチャ、トウモロコシ等‥。産直朝市からも沢山の品々が紹介されるでしょう、味が良いか、形は良いか、値段はよいか、人それぞれで感じ方は違うでしょうがAAAの思いに沿った品であることは間違いないと思います。
食べてみてください、きっと「アッ、やばい」と思うでしょう。そして食欲の秋に向かって「そうとうやばい」状態になっても仕方ないかなと思うのです。


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